オークション最高落札額の絵画

ここ数年の間、競売会社では驚くべき記録が出ています。過去二年間で最高落札額がついた絵画について興味深い事実があります。その事実とは、それらの絵画はすべて1960年以降に制作されたものだということです。つまり、現代美術にとって堅調な市場ができたことを示唆しています。

プライベートセールであろうと、オークションであろうと、いずれの販売方法においても、著名な画家による美術品は、販売額の記録をたびたび塗り替えてきています。

これまで落札された絵画の中で、史上最も高額に落札された絵画をいくつかご紹介します。ぜひご覧ください。

クロード・モネ『積みわら』

このクロード・モネの象徴的な傑作は、モネの個人的な最高記録だけではなく、あらゆる印象派の芸術作品の最高記録でもあります。モネの『積みわら』は、当初の評価額5,500万ドルは、じきに2倍の値がつけられました。これは、いかに過去30年間でアート市場が変化したかをよく表しています。

この絵画は、1986年のオークションで250万ドルの値で落札されました。その前は、Bertha Honore Palmerのコレクションの一つでした。同じシリーズの他の作品とは異なり、『積みわら』は鮮やかな色が特徴的です。これは、モネが北フランスの村・ジヴェルニーの夕陽を描くために使用されました。

最終的に、本作品は1億1074万ドルという高額で落札されました。

ジェフ・クーンズ『ラビット』

2018年、デイヴィッド・ホックニーが、現存画家としてオークション過去最高額を記録しました。しかし、ジェフ・クーンズが、昨年5月にニューヨークのクリスティーズで、『ラビット』を9,110万ドルという驚異的な落札額でその記録を塗り替え、世界は驚きに包まれました。

『ラビット』は、遊び心とサインフラッシュの組み合わせが特徴的であり、それは画家本人であるジェフと関連付けられます。しかしオークション前は、この作品は現代美術の代表作として、慎重に市場に出されていました。『ラビット』は、デイヴィッド・ホックニーとは対抗的なものだとみなされ、伝統的な彫刻の死を示していました。

ロバート・ラウシェンバーグ『バッファローⅡ』

この作品は、アメリカ合衆国の歴史を表した構図のコラージュとなっています。コカ・コーラが発明された時代からジョン・F・ケネディ元大統領の時代にいたるまでの歴史が描かれており、ケネディ元大統領がさした指までも表現されています。『バッファローⅡ』を見ると、愛国心と希望について知ることができ、1960年代の政治情勢やその無秩序や混乱を目撃した人々と密接に関連しています。

作品の図は、新聞や雑誌から切りとられたようで、粗く鮮やかな色彩を通して、見る者の注目を引き付けます。キャンバスの長さは8フィートもあり、アメリカ合衆国の肖像画だといえますが、その描写はしばしば美化されています。絵画『バッファローⅡ』は、快挙とも言うべき金額、8,880万5000ドルで落札されました。

ポール・セザンヌ『水差しと果物』

この中で最も古い絵画である『水差しと果物』は、北米・アフリカ・ヨーロッパと渡り歩き、今までに9度も所有者が替わっています。この名画は、制作から100年以上経っており、1978年にマサチューセッツ州ストックブリッジで盗難に遭いました。盗まれたとき、絵画の値は60万ドルでしたが、ここ数年の間に価値がさらに上がりました。

この作品は、典型的なセザンヌ的作風で有名です。画中に描かれた果物は、長方形のテーブルに置かれており、その動きは人生とその厳しさを表現しています。ポール・セザンヌは、単調で長時間の作業をすることで有名で、ひと筆ごとに時間をかけました。『水差しと果物』は5929万5千ドルの値が落札されたのでした。